2009年10月3日土曜日
生きながら火に焼かれて
作家さんではないけれど、スアド(仮称)さんという方のノンフィクションです。
よく読後の感想で「考えさせられる話」というフレーズを目にしますが、考えることさえ停止してしまうお話だったというのが正直な感想です。
スアドさんが生まれたシスヨルダンの小さな村の常識は、クイナの(みなさんの)日常では有り得ないもの(有り得ないどころか犯罪)です。
ですがこの村ではその犯罪行為が「名誉」として認められるケースがあります。それは恋をしたり男性に話し掛けたりした独身女性を家族が殺すこと。このような行動をする独身女性が家族の中にいることは一家の恥なのです。家族の名誉を汚したものは死を持って償うべきで、その女性を死に至らしめた男性は英雄なのです。逆に殺さなければ一家は村では生活していくことが出来なくなります。
スアドさんはこの不文律によって義兄にガソリンを浴びせられ、火をつけられました。
世界にはいろいろな風習や文化があり、それぞれが意味を持ち先祖代々受け継がれ、大切にされてきたものなのだから価値観の違いこそあれ、根ざす部分には共通のものがあると思っていました。
でもこの本を読んでいると、人間が感情を持つ生き物であることが悪しき進化に思えてしまいました。女性蔑視とか人権無視とかの問題ではなく、もっともっと根っこの部分のお話です。
どんな感想を持つにしても一度読んで見てください。読まなきゃ良かったって思うかもしれない・・・それでも読んで欲しい一冊です。
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