2010年11月29日月曜日
スルース
「スルース」というストレートプレイを観に行きました。
私のドタバタ観劇記、ダルシーの超忙しい1日はコチラ。
さてこの作品、イギリスの劇作家、アンソニー・シェーファーの代表作です。
この作家さん、同じく作家のピーター・シェーファーとは双子(弟)だそうです。
ピーター・シェーファーといえば「エクウス」や「ブラックコメディ」など、強烈な印象の作品が多く、映画「アマデウス」など脚本家として参加した作品も「巧い!」と思わされるものを手掛けています。
双子さんとは知りませんでしたが、斬新な切り口からの強烈なインパクトと話の展開の面白さは、さすが双子?そういわれれば似ているような・・・。
脱線しましたので話を本題に戻しましょう。
アンソニー・シェーファーさんは、作家になる前は新聞記者、またある時は弁護士と、なかなか変化に富んだお仕事をされていますが、本当に推理好きなのでしょうね。劇中には探偵へのオマージュを感じられる台詞が散りばめられています。
常に話の根底に流れる、「推理小説とは」という主旋律。ここに装飾的に様々な「トリック」が仕掛けられていきます。
妻を寝取られた男が、寝取った男に求めたものとは・・・。
陰と陽が心地よく混じりあうストレートプレイ。
開始早々「はいぃっ?」という展開から始まるこの劇。唐突といえば唐突に劇の深みに引きずりこまれます。
舞台版は現在、劇団四季が公演中。残念ながら東京公演は昨日千秋楽を迎えましたが、今後は京都公演が始まります。
アンチ劇団四季な方は、映画版をご覧になると良いでしょう。残念ながら映画版の初代の作品はDVDにはなっていませんが、2008年にマイケル・ケイン&ジュード・ロウでリメイク版が出ています。余談ですが、マイケル・ケインは初代映画版ではジュード・ロウが演じる青年役を演じています(^^)
息の長い俳優さんですね。
またまた話が脱線気味(^_^;)
ここから先はあらすじをご紹介しています。結末は書いていませんがご注意ください。
イギリスの片田舎に住むアンドリューは上流階級の有名な推理小説家。ある夜、彼の家に、青年ミロが訪ねてくる。
ミロはアンドリューの妻マーガレットの愛人。貯金を切り崩しながら細々と生活するミロは、浪費癖のあるマーガレット暮らすことを望みながら、半面で躊躇している。
一方のアンドリューはマーガレットと別れ、愛人である若い女と再婚することを考えている。
そこでアンドリューはミロにある提案を持ちかけた。「この家にある宝石を君が盗み、君はそれを盗品屋に売り、得たお金でマーガレットと暮らすがいい。私はその保険金をもらい、愛人と再婚する。」
衝突しながらもこうして2人は共犯者となり、強盗に入られたように見せかけるため、部屋の中を荒らし始める。
ミロが宝石の入った金庫に手を出そうとした瞬間、アンドリューの態度が一変する。ミロを呼んだのは妻を寝取られた復讐であり、宝石強盗として殺すためだったと告げ、ミロの懇願もむなしく銃声が響く・・・。
ここで1幕終了。
2幕。何事もなかったように整然とした室内。設定は事件から翌々日。
住み込みが不在のため、質素ながらも優雅な食事をとろうとしたひと時、警察が訪ねてくる。「ミロがアンドリューの家に行くと言ったまま、2日前から行方不明だ。」と。
ここからは1幕とガラっと変わり、事態は二転三転していきます。「騙されまい」としながら、静かな攻防を繰り広げるアンドリューとミロ。しかし、一番「騙されまい」と見守っているのは観客かもしれません。アンドリューとミロ、そして観客を巻き込んだ騙しあい。
どこまでが遊戯でどこからが本気なのか・・・見破ることができますか?
70分少々の作品です。そんなに長い作品ではないので窮屈になることはないと思います。
私はリメイク版の映画より、舞台のほうが良かったです。舞台版をご覧になる方は、是非舞台セットにもご注目ください。
特に時計。ラスト10分は圧巻です。
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