ダルシーのにっき: オンディーヌ

2011年1月19日水曜日

オンディーヌ


ジャン・ジロドゥの戯曲「オンディーヌ」

原作はドイツの作家フリードリヒ・フーケの小説「ウンディーネ」。
このフーケですが、ジロドゥに負けず劣らずの波乱万丈な人生で、作家になる前は軍人でした。
フーケは軍人時代に一般女性と結婚しましたが、数年後には女流作家と結婚するため、離婚。
この作品には前妻への想いが込められていると言われています。

しかし、ジロドゥが書き上げたオンディーヌは原作とは異なる解釈で作られています。
両作者の母国、ドイツとフランスのお国柄の違いもあるのでしょうか。

タイトルのオンディーヌは水の精。
古き西洋には地・風・火・水にも精霊が宿ると考えられ、水の精はとりわけ美しい姿を持つとされていたそうです。

さて、戯曲「オンディーヌ」は・・・

オンディーヌは水の精ですが、とある湖のほとりに住む漁師の老夫婦の養女として育てられていました。

ある嵐の夜、オンディーヌは騎士ハンスと出逢い、二人は恋に落ちます。
天真爛漫なオンディーヌに心惹かれるハンスは、オンディーヌを后に迎えたいと願うのですが・・・

水の精の世界では掟がありました。
-決して人間を愛してはいけない-

水界の王にハンスとの結婚の許可を乞うオンディーヌ。
でも王は、人間の貞節を疑い、二人の結婚に反対します。

結婚の許しと引き換えに、オンディーヌは水界の王とある契約を結びました。
「もしハンスがオンディーヌを裏切れば、ハンスの命は尽き、オンディーヌはハンスとの記憶を永遠に失う」

城に戻って幸せな生活を始めた二人ですが、オンディーヌは水の精。宮殿のしきたりや作法など、知る由もありません。
城ではオンディーヌは笑い者。そしてさらにハンスには、古くからの許婚ベルタがいました。
ベルタはハンスの心を取り戻そうと、邪心と知恵を働かせます。

純粋そのもので、人間界の嘘や邪心・形式ばった生活に馴染めないオンディーヌを扱いかねたハンスは、次第にベルタへと心を寄せていきます。
そんなハンスに対し、オンディーヌはベルタの邪心を気づかせようとしますが、ハンスには逆効果。
ますますハンスの心はオンディーヌから遠ざかっていくのでした。

ある日、オンディーヌは気づきます。
このお城は水に囲まれている・・・

オンディーヌは「水に気をつけて」とハンスに警告し、彼の命を救おうとする一心から彼を裏切ったと見せかけ、城から姿を消すのでした。

ハンスとベルタの結婚式が近づく中、ハンスは姿を消したオンディーヌの行方を追わせます。
そして迎えた結婚式の朝、オンディーヌは捉えられ、魔女裁判に掛けられるのでした。

愛するハンスのため、裏切ったのは自分だと言い続けるオンディーヌでしたが、そこに現れた水界の王には、嘘は通じません。

ハンスも、オンディーヌは自分を裏切ってなどいないどころか、自分を愛し続けていた事、苦悩してきた事を知ります。
狂気にとらわれたハンスは結婚式の事など忘れ、城の中をさまよった末、オンディーヌの前に現れます。
出逢った時の心の結びつきを取り戻す二人でしたが、水界の王との契約は果たさねばなりませんでした。

ハンスの命は尽き、オンディーヌの記憶は消え、彼女は水界へと戻ります。

日本では浅利慶太さんの演出で劇団四季が公演しています。
かつてオードリー・ヘプバーンも演じたこの作品。日本でのオリジナルキャストは加賀まり子さんだったそうです。

劇団四季といえばミュージカルのイメージが強いですが、ストレートプレイも時々公演しています。
1998年の公演以来上演されていないこの作品。久々にこの春、自由劇場で公演が予定されています。
何度か観ていますが何度観ても色褪せない作品。
私には、原作よりもジロドゥの戯曲の方が心に響きます。
今回も、少なくとも1回は観に行かなくては。

四季版の最後、オンディーヌが息絶えたハンスを見つめながら王に言ったひとことが心に残ります。

「生きていたらきっと好きになったでしょう!」

2 コメント♪:

丸山みかん さんのコメント...

(* 'ω')ノコンバンハ

素敵なお芝居を紹介してくれてありがとう❤

徳島では演劇が盛んでないことや、私自身貧乏なこともあって観劇とは縁遠いの。でも、お芝居は好きで、映画も大好き。でも、映画館からも遠のいてたところで、もっぱらテレビ視聴のみ。

ダルシーちゃんがこうして書いてくれたあらすじだけでも感激しちゃった。(✪ω✪*)♡

ほかの記事も楽しみにしてるよ。ダルシーちゃんの文章はとても読みやすくて面白いよ☆

2011年1月19日 18:43
Darcis さんのコメント...

みかんさん こんにちは♪

>素敵なお芝居を紹介してくれてありがとう❤
とんでもない!!
私も映画や演劇は好きなので、機会があればなるべく行くようにしているけど、日本って全般的に料金設定が高いよね(>_<)
映画はレディースデーとか、試写会に応募とかでコストダウン。
近所のレンタルDVD屋さんが旧作は80円で貸してくれるから、それでもだいぶ助かってるよ♪

>ほかの記事も楽しみにしてるよ。
ありがとう!!みかんさんにそう言ってもらえたらホント嬉しい(≧∇≦)
料理ブログはまだマシだけど、日記ブログのほうはご覧の通りグダグダで・・・でもそう言ってもらえると更新する勇気が出るワ♪

2011年1月20日 17:11